にやにやにやにや。
なんだか笑いが止まらないと言うか。
銀魂を見てるときの自分の顔を見て気持ち悪くなった。
すっごくね、なんか愛しいものを見てるときかのように
目じりを下げて、顔が緩んでたんだ。
末期だと思った。
そんな日の夢見てる小説。
桂との遭遇事件、その後。
主人公、銀時たちを迎えに行って、取調べにあう。
それにしても、だ。
なんで迎えにきただけなのに、取調室にご案内されなきゃならないのか。
「桂との関係はどうなのか、どんな組織に属してるのか」
そいつは目を細める。
「洗いざらい喋っちまいな」
低音が、響く。
どうやら凄んでいるらしい。
全然怖くないけど。
そんな、殺る気のない殺気をあてられてもね。
というか、こいつの話術、まるっきりチンピラだよね。
「だからさ、銀時たちを迎えに来たって、言ったよね?」
「自分のことより仲間の心配か?」
「いや、仲間っていうか、かぞ・・・」
「殊勝なことだが・・・自分の心配したらどうだ?」
全くもって、話を聞いてくれない。
「あのさ・・・・」
「お、喋る気になったか?」
「・・・あなたの言う攘夷って、何?」
「・・・・・・・」
そう言うと、そいつはおかしなものを見るような目つきをした。
手に持っていた煙草を一口吸うと、煙を吐き出す。
また、部屋が一段と白くなった。
「お前ら、攘夷浪士の癖に何言ってんだ?」
「いや、だからただの万事屋だってば」
そう、かつてはそう呼ばれていたかもしれない。
けれど攘夷やなんやと言われても、実感は湧かない。
少なくとも、自分達は、天人を国から追い出そうと戦っていたわけではない。
小太郎は鼓舞するためにあんなことを言っていたが
内心では違う思いがあったはずだ。
あの人は、いつも言っていた。
人の数だけ、想いは違うのだから、ぶつかり合うのだと。
反発しても、それでもいつか、相手にわかってもらって
互いを尊重することが出来れば、世界は穏やかなのだと。
それは天人でも関係ない、と。
ダメな場合があることも、あの人はわかっていたけれど。
それでも、諦めずに、自らの想いを説いていた。
そんなあの人が殺されたのは
今思えば、天人側にも、人間側にもそのほうが都合がよかったからだ。
天人側には、あの人の思想を聞く耳はなかったし
人間側はあの人の思想の最終目標は受け入れがたかった。
だから、殺した。
あの人の想いが、誰かに届く前に。
私達にも、あの人の想いは最後まで届いていなかった。
ずっと説いていてくれたはずなのに。
あの人を喪った事が、目に映る全てを曇らせた。
だから美談だかでっち上げだかわからない、そんな話で上手く乗せられ
戦に参加せざるを得なくなった。
そしてほくそ笑んでいる大人たちに、子供達は振り回された。
みんなみんな、深く傷ついた。
帰らなくなった人間もいた。
今でもそれは、終わることなく続いている。
みんな、そしてあの人も、護りたかっただけなのだ。
自分の大切な魂(もの)を。
けっして、テロリズムのためなんかじゃない。
攘夷は、テロリズムではなかったはずなのだ。
まぁ、あの二人はそれに走ってしまった。
その、一番手っ取り早いであろう方法に。
全てを担う重圧と、私たちへの優しさゆえに。
護りたいと思う気持ちは、変わってないと信じてる。
そんな思考は、机を叩く音に引き戻された。
大きな音に、いつの間にか俯いていた顔を上げると
不機嫌そうな顔が目に映った。
「オイ、黙ったままじゃわからねぇだろうが」
と、目の前の黒尽くめがのたまう。
少しの物思いにも耽させてくれないらしい。
まぁ、なんとも粗野な連中だ。
でも、あの子たちに、なんか似てる気もするけれど。
「それで、桂との関係は?」
「・・・あのさ、人の話聞いてた?私、銀時たちを迎えにきただけなんだけど」
この堂々巡りは、あと2時間ほど続いた。
私が「いい加減に、人の家族返せって言ってるでしょうが!」と叫んだのを
局長と名乗る人が、聞きつけるまで。
○その後、おーひじ君と呼ばれる運命にある黒服と
主人公とのファーストエンカウントBY主人公視点。
別に、テロだろうが何だろうが、あの子たちが家族で大切なのは
この子の中では、変わりがない。