夢見てる小説一部抜粋してみました。
それがせっかく覚えた名前で呼んでくれていたのに、気づけば不名誉なあだ名で呼ばれていた。
しかも、微妙に違うイントネーションで。
「それにしても何をどう覚えたのか・・・」
腕を組み小太郎は呻る。
晋助はみかんを手に取り、呟いた。
「・・・愛情表現」
「なに・・・?」
呟かれた言葉に、小太郎は眉をひそめた。
みかんを弄びながら、晋助は言葉を続ける。
「あだ名はその人に対する愛情表現とか久坂が教えてたぞ、あいつに」
「・・・・・・・」
それだけ言うと、晋助はみかんを剥き始めた。
小太郎は眩暈がしたような気がした。
あながちそれは間違ってはいないが、何かが抜けている。
○銀魂過去捏造松下村塾編。場面は冬。こたつで差し向かいの子桂と子高。
二人のやり取りを見ながら、登勢は紫煙を吐き出した。
「・・・猫だとは思ってたんだけどね」
拾った時は、ただの捨て猫だと思っていた。
だがその認識は、時が経つにつれて間違いだと気づいた。
「気まぐれな、ケダモノか・・・」
立派な牙を持ちながら埋もれていく事を望んだ。
今は、大切なものを抱え込み、幸せそうに眠っている。
「あんたらが、眠っていられることを・・・」
そこまで呟いて、登勢は頭を振る。
「いやだね、私も耄碌しちまってるね」
昇り行く陽の光に、彼女は目を細めた。
○銀魂本編。たぶん、キャサリン登場回の最後。
「剣なら・・・まだあるぜ」
機を逃してはならない。
ありったけの力を込めて、紅桜の刀身を掴む。
手のひらに刃が食い込むが、痛みは感じない。
「とっておきのがもう一本っ!」
銀時は、上を見上げる。
似蔵は銀時の意図に気づくが遅い。
(抜けない・・・!?)
「うわぁぁぁぁぁああ!!!」
刃は惑うことなく振り下ろされる。
ばしゃん!!
荒い息と、着水の音。
空に舞った腕は、紅桜の片鱗を残さず、ただ転がった。
「酷いことをするねぇ、僕」
腕を落とされたことなど、気にも留めず、似蔵は哂う。
ぐっと、腹に力を入れ、新八は力の限り似蔵をにらみつけた。
「これ以上来てみろ!次は左腕を貰う!!」
○銀魂本編、紅桜編序盤。やれば出来る子、新八君。
・・・こんなカンジで。
あれ?夢見てる小説の主人公がいないよ?