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日々は過ぎる。 されどわが胸に残る風。
  2024/05/21 [18:03] (Tue)
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  2012/03/04 [19:15] (Sun)
覚書。

夢見てる小説はメモ帳に全部書きこまれています。
長編によっては、別に分けて書いたりもしています。


というわけで現在これだけ書きためられてる。
(順不同)

本編(各長編除く)    340KB
その後           22KB
短編集           28KB
四天王編          39KB
吉原炎上編        43KB
紅桜編           58KB
紅蜘蛛編          24KB
動乱編           23KB
過去編           124KB
死人に口なし       30KB

・・・あれ?
いつの間にこんなに書きためた?
まぁ、実質文章の半分くらいは
推敲したら要らないやつだけれど。


これだけ書いてもまだつながらないとは。
どんだけ長い話書いてるんだろう・・・・・。


色々スチャラカ書き。
全然繋がってません。
唐突に始まり、終わる。
基本的に主人公一人称。



  




ホントに何で死んでるんだよ。
私、死ぬつもりなんてこれっぽちもなかったんだぞ。


むしろ全員で生き残ってやるくらいなつもりで。

父さまと母さまとの約束があったし
松陽先生とも約束したし。
玄ちゃんや、八兄ちゃんに、
そんで熊おじさんともこの間約束したし。
敵の司令官らしき人にも、生き残れよって言われたし。
そしてアイツとも、一応約束はしたし。


あれ?よく考えりゃこれって死亡フラグばっかじゃないか?


これが最後の戦だってなって。
幼馴染たちと、弟が、自分残して出撃しちゃって。
あいつら死ぬつもりだったらしいから、ご丁寧に遺書が残ってて。
遺書っていうか、別れの言葉みたいな感じだったけど。
あ、弟のはなかったからね。
弟もそれ読んで飛び出してったみたいだった。

で、私もそれ読んで、置いて行かれたのに腹が立って。
んでもって遊撃隊の面々と一緒に、助けに行って。
幼馴染たちは無事に確保して、後は弟だけってなって。


そこから覚えていない。


うん、死ぬつもりはなかった。
というか、何で死んでるのかいまいち理解できない。

 


懐紙を取り出すと、銀時は何かを折り始めた。
出来上がったのは白い花の折り紙。
いやいや、何でお前そんなの覚えてるのさ。
というかどこで覚えたのさ。
先生に折り紙教えてもらった時、鶴とやっこさんしか作らなかったじゃん。
あの人、それしか作れなかったし。


こんなニセモノでごめんな。
そんなことを呟いた。

まぁ冬だからそこら辺に花なんて咲いてないし。
そんなこと、気にしてなかったんだけれど。

もし死んだとしたら
戦場でそのまま朽ちると思ってたから。
こうして弔ってくれようとするのは、すっごく嬉しい。


紙の花と一緒に、私が使っていた教本を、胸に抱かせてくれた。
私の教本は、みんなのと比べてすごく汚くなってる。

遊撃隊の子たちにも見せてあげてたし
内容を指さしながら、面白半分にいろいろと教えてたからなぁ。
だから細かい注意書きとかもたくさん書きこまれてる。

銀時のは綺麗だよ。
大切に扱ってたし。
寝てばっかだったからそもそも手に取ることも少なかったし。
そういえば小太郎や晋助のも、綺麗だったなぁ。

・・・あれ?
私だけ扱いが雑だったってことか?
あれ?

 



「だーもう、碌なもんがねぇ!」

銀時は叫びながら、村中を家捜ししていた。
私の骨を納めるモノを探しているらしい。

小さめ壺は、砂糖とか塩とか入ってるし。
水甕は大きすぎるし。
ちょうどいい大きさのは漬物漬けられてるし。

銀時の動きがピタリと止まる。
じーっと何かを見つめている。
私は銀時が見つめる先をたどってみた。

そこにあったのは、『あられ』と書かれた一斗缶だった。

容量はばっちり。
ちょうど蓋もある。
持ち運べる。
外見シュールだけれど。
これ以上適したものないんじゃないか?

銀時の視線がちょっと動く。
迷ったように。
でもさ、これ以上探してもないんじゃない?


銀時はまた「ごめん」と何回も呟いていた。
そして私の骨は、一斗缶に収められた。



『死んだ時のこと、覚えてるか?』
『・・・・・』

私は首を横に振る。
全然覚えてません。
死体の状況で、死んだ経緯の仮説は立つんだけれど。
でも精神衛生面的に良くない結果になりそうなので、仮説を考えることはやめました。
私の返事を聞いて、男は笑いながらもため息をついた。

『嬢ちゃん・・・よっぽど衝撃的な死に方だったんだな』

だから死んだ時のことも覚えてねェし、未練タラタラで、この世にいるんだろうなぁ。
そう言葉が続いた。
なんか馬鹿にされたような気がする。

『・・・そういうアンタは何で残ってるんですか』

胡乱な視線で聞いてやる。
そうすると男はちょっと視線をさまよわせた。
・・・こいつ、もしかして。

そして帰ってきた答えは。

『戦場で、ダチ庇って、弾に当たっちまって』

その時点で一呼吸して。

『そんでもって結婚したばかりのかみさん、未亡人にしちまっ・・・・たぁ!?』
『テメーも同じ穴の狢じゃねぇかっ!』

飛び蹴りをかましてやった。



次の日の朝早く。
銀時は『私』をつれて、塾への道を辿っていた。
片手には大きな花束を持って。

焼けた塾の跡は、あの時のままだった。

でも庭だけは、手入れされていた。
人目を忍んで、仲間たちが手入れしてくれていたそうだ。
自生しているものをそのままにしているから
一見は荒れ果ててるようには見えるけれど。
昔から、この庭はそうだった。


そんな庭の片隅にある、小さな土饅頭。
それが、松陽先生の墓だった。
先生の墓には、先生の遺体はない。
幕府から取り返せなかった。

だから代わりに埋められたのは、先生が使っていた教本と
銀時が先生からもらった刀だった。

銀時は、私の墓をここに作ると決めたようだ。

幾人かが手伝いを申し出てくれたけれど
銀時はそれらを断った。
時折であるが、ここには幕府の役人が来ることがあるらしい。
まだ先生の教え子たちに対して、警戒しているようだ。

まぁ、垣根の中まで入らずに、燃えた跡だけ遠目に眺めて満足して帰るそうだけど。
ひそかに手入れされてる庭なんて誰も見ていないって笑ってた。

それでも、大人数で目立つと厄介だからって
そういう名目で、なんとか引き下がってもらった。


それでもこれだけはと、彼らは朝早くにもかかわらず
大きな花束を用意して、銀時に押し付けた。
銀時は眦を下げて、困ったように頭をかいていた。



「誕生日、おめでとさん」

そう言われて、私はようやく気付いた。
・・・今日は誕生日だった。
だから私も笑って返してやった。

『銀時も、誕生日おめでとう』

目の前にいるのに、聞こえないこの言葉を。

しばらくぼそぼそと、銀時は近況を語っていた。
うん、知ってる。
ほぼ隣で見てたし。
ああでも、先生は知らないからなぁ。

隣の墓を見つめる。
そこに先生はいない。
それでも、ここから銀時の声が、届いてくれればいいと思う。

だって、そう願いをこめて
先生の墓を造ったんだから。



すっかり冷えてしまった甘酒を
銀時は一気に飲み干した。


死人は口もきかないし、団子も食わない。
もちろん、それがいくら死人が好きなものだったからって。

だから生者の腹に収まるのが、一番だ。

広げた荷物を片づけて、銀時は立ち上がった。

「また来るよ」

いつになるかわかんねぇけど。
銀時らしく、へらりと笑って、そうして墓に背を向けた。


 




「言えない様なやばい奴だったのか」

瞳孔開きが、そんなことを聞いてくる。

失敬な。
ただ『白夜叉』と呼ばれて、戦場駆け抜けてただけの人間です。
・・・あれ?自分ってやばい奴じゃね?
あ、そんなこと言ったら銀時だってそうじゃん。
うん、だからやばい奴ではない。
断じてない。



膝をつき、蹲る。

『ごめんなさい・・・』

何で死んだんだ、私の馬鹿。
死んでしまったら、なんにも出来ないじゃないか。


私が大好きだったもの。
自分自身で奪っちまってどうするんだよ。


バカって言って、小突いてやるつもりだったのに。
みんなで、無様でも生き残って


また笑いあいたかったのに。
あの子たちの笑顔、見たかったのに。

 

自分自身を抱きしめて。
私は獣のような咆哮を上げた。

 

 

 

 


『・・・死人に口なし』


遠く、遠くからも伝わる、慟哭の声。
あの子供も、気付いたのだろう。


『俺たちは、いくら未練タラタラで、ここにいたって』

 

なんにも、出来やしねぇンだ。

 

自分自身が招いた結末に
何の責任も取ることすらできない。
そう、見ていることしか、出来ない。
死人はただ、そこにあるだけだ。


どうか、どうかと
幸せだけを願って。


ここに、あるだけだった。
 

 

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